駄句
六月七日
(柿の花)
・散りてなお甘き実残す柿の花
・照り映える葉陰にここぞ柿の花
・晴れ晴れとふるさとの野の柿落花
(黴)
・厭われしもうま酒醸せ黴の花
・築五〇木陰に沈む黴の宿
・味噌醤油黴のちからの香りかな
・古き塔黴の湿りも神寂びて
六月二一日
(鮎)
・喧嘩して鮎ともどもに釣られける
・里暮れて鮎の哀れや魚籠の中
・煌めいて淵の底岩鮎走る
(紫蘇)
・紫蘇の香や今宵のやっこの一段と
・青紫蘇や香りも清し胡瓜揉み
・紫蘇の香に激す気持ちをなだめられ
・紫蘇しぼる母の手しわの赤きかな
備忘
【養老孟氏の本を読んで】①
・こころ・・・脳の機能(はたらき)の一部。意識と同意。。「同じ」という癖があ り、ここから「自分には変わらない個性がある」と勘違いする。なお、感情は脳の辺縁系の働きから生じる。
・個人・・・西洋一神教の「霊魂不滅」から生じる観念。即ち最後の審判は不変、不滅の霊魂が存在しなければ成り立たない。これを「変わらない個人」とした。また、これは西洋文化の中で、公に対する社会の最小単位。日本の場合は。公(即、世間)に対する最小単位は個人ではなく「家」である。西洋の墓は個人名を記し、日本の墓は家を記す。
・情報系・・・脳(実体)―言葉(情報) vs DNA(実態)ー遺伝子(情報)の2系統から人の情報系が成り立っている。
・人は変わる・・・情報(記録されたもの)は変わらない。脳は日々変化する。よって人間は変わる。
・意識・・・二面性がある。脳の外部に開かれた意識(感覚的)と、内部に閉じられた意識。外部性の意識は、ひたすら「違う」を指向し、内部性意識は「同じ」を指向する。外部性意識は、世界を感覚でとらえ、すべてのものは「違う」と認識し、内部性意識は、すべてのものを「同じ」で捉えて概念化する。the appleはすべて違うリンゴ。an appleはすべて同じリンゴ(概念化されたリンゴ)。