沈香!?
沈香もたかず屁もひらず。・・・という人がいたので言った。
「沈香はともかく、屁ぐらい思い切りひったらどうでしょう」
「うんにゃ、屁などという下品なものはひってはいかん。あの音の下品さを思うと汗が出る」
「”ぶっ”てなのはいっそ豪快ではないですか。よしんば”ぷっ”だって可愛らしい」
「ああにを言うかね、きみィ。”ぶ”や”ぷ”はまだしも、ぶっ、ぶっ、ぶっ・・・と連発などした日にゃあどこへ顔を向けていいかわからん。ましてや少し湿気っていて、びィ~~、びィ~~などとなったら汚くていかん!」
「解りました。少なくても湿っぽい奴はだめですね。なら、明るくぴ~~、ぴ~~ってなのはどうです」
「腹下しのようだね。胃薬を飲んだらいいだろう」
「では趣を変えまして」「変えんでもいい」
「変えまして、ばふっ、ばふっ、とか、ぼんっ、ぼんっなどはいかがでしょう」
「なにやら夏の夜の花火のようだけれど、まあ景気がいいから許す」
「では少し高級になりまして、す~~、す~~、などは?」
「これが高級かね。嫌だねすかしっぺ!」
「よくないですか。では最終的なやつ。・・・、・・・」
「これは何かね??」
「究極の屁、音なしの極意」
「しかしそういうのは、臭いだろう」
「そりゃあ、どっちかですよ。音はすれでも臭いはなしか、音は無くても臭いはきつい」
「屁はすべからく基本に忠実なるべし。上品にして気品を備えその音をして人を感心させる。これぞ極意なり。一朝一夕にして屁はなりがたし」
彼岸
・庭園の彼岸の水や澄み流る
・雁風呂や浜に残りし枝もあり
・背を丸め畑打つ影の母に似て
・利休忌のオリオン滲み明日は雨